腸閉塞は突然に<其のニ> マジでナイスなジャニーズ先生

腸閉塞は突然に<其のニ> マジでナイスなジャニーズ先生

(「腸閉塞は突然に<其の一>」の続き)

救急車が病院に着くと、ガラガラと音をたてて転がされるストレッチャーに載せられたまま救急室へ運び込まれていきます。身をかがめハラを抑えながらも、目は、めまぐるしく流れていく景色を追っているのでした。それが天井であったのか、壁であったのか、はたまた妄想であったのか分かりませんが、ああ、いつもの病院だ、ということは壁の色や照明の明るさや、その他ごたまぜの空気感でなんとなく感じたのでした。

やっとたどりついた救急の診察室はカーテンで仕切られ、何人もの患者がそれぞれのベッドにいるもよう。そのタタミ一畳くらいのスペースにベッド一台と左右に人が入れるすき間があり、けっこう狭い。その中を看護師や医師がせわしなく動き回り、治療をするわけです。
疫病の蔓延した地域や戦地などで作られた仮設病院を彷彿とさせ、まだここは落ち着けるところじゃないよ、まだ続くんだよ、というような、そこはかとない不安を感じるのでした。

到着と同時に救急隊員が医師に事情を説明してくれたものの、わたしにも当然聞いてきます。
これまでの治療状況や現在の病状はカルテを見てくれと言いたいところでしたが、何がどうからんでハライタが起こっているのかも分からないし、きちっと伝えないといかんと思い、うなる合間をみて答えます。

それにしても、言うことがありすぎてたいへん。
がんの治療をしてて、主治医はだれで、いつ子宮と右の卵巣を取って、左の卵巣は腰骨の上あたりまで吊り上げてあって、抗がん剤はいつ終わって……。プラス、今日の出来事と今のハラ具合。

しかも、検査をしてからでないと痛み止めを使えないという。
う〜ん、拷問。
どちらにしても、その後強い鎮痛剤を点滴しても全く効かなかったのですが。

……そして気になる診断は、『なんだか分からない』!!!

(最近になってまた聞いたら、腸閉塞だということは分かっていたらしい。どの程度のものか、その時点では分からなかったようです)

しかし、わたしにとって今世紀最大の痛み(今のところ)で、いっこうに止む気配のないうなりをあげているにも関わらず、なぜか死ぬ気が全くしなかったのと、何かしらの対処をしてくれていつかは終わるに違いないという根拠のない信頼があったのでした。

するとおぼろげに、ジャニーズ先生が電話をする姿が見えました。
どうやら、手術室らしい。

ジャニーズ先生 「緊急で手術1名お願いします」
わたし (だ、だれかな……。わたしじゃないといいんだけど。誰の名前を言うかな……)
ジャニーズ先生 「あーはい、患者さんの名前は、木口マリさん」
わたし (わーーーー!やっぱりわたしかーーー!!!)

おなかを開けるだけになってしまうかもしれないけど、手術しましょう、とのことでした。

また手術か……。
うーん、でもそれしかないよな、覚悟をきめよう。

ということで即決。「お願いします」と言うのでした。

それに、どうでもいいから何かやってくれという心境でもありました。もう相当に疲労していて、全身麻酔でもなんでもいいから、とにかく寝たかった。痛みのない世界に行きたかったのでした。

しかし待てよ、目覚めたときに、本当に痛みはなくなっているのだろうか。二度と目覚めない可能性もあるかもしれない。それは祈るしかないだろうか……。

そんな不安を一瞬で払拭する、ジャニーズ先生のひとこと。

「開けるだけになるかもしれないけど、原因は突き止めます」。

ああああ、なんてナイスな先生。
すてきなのは、見た目だけじゃないのね!

痛みのさなかにあっても、ああ、これで助かった、という安堵感に包まれたのでした。

何が「助かった」かといえば、心が救われたのだと思います。
もしかしてもしかしたら、原因も分からず、死んでしまうこともあるかもしれないけれど、これだけがんばってみようというジャニーズ先生の心意気に任せよう、任せていいんだ、と感じたのでした。

こんな特殊な状況でも、信頼が心に与える影響はスゴイ!のですね。

……と、このようにのんきに書いていますが、実際はずっと激痛を抱えたまま。
そして着々と手術の準備が進んでいきます。

と、いうところで母と姉が到着。

手術室に運ばれる寸前、わたしがふたりに頼んだこと。それは、

1、レンタルDVDを返す
2、翌日の忘年会に出席できないことを友人に伝える

でした。

いえ、ほんとうにハラは痛かったんです。

(「腸閉塞は突然に<其の三> 手術」に続く)

病室のいきもの
病室にも、いきものがあるのは、いいもんです
[療養中フォトギャラリー by iPhone (c)木口マリ]
スポンサーサイト

このエントリーをはてなブックマークに追加
Guide
  •  …この記事と同じカテゴリの前後記事へのページナビ
  •  …この記事の前後に投稿された記事へのページナビ
 

~ Comment ~

ジャニーズ先生以外の医療関係者はとうとう出てきませんでしたネ
それほどの方だったのネ(*^^*)
悪夢の中の一筋の光のような・・・

それにしても、壮絶な痛みによく耐えたね
いや、耐えるしかないでしょうけど
一度死んだ、というくらいの痛みは想像もつかない(--;)
すごい経験してきたんだね(・・;)
それ乗り越えて今があるってアッパレだよ!
  • #259 ちっくたっくぼんぼん 
  • URL 
  • 2014.08/24 22:45 
  •  ▲EntryTop 

NoTitle

大の大人が呻き声あげるような痛み、ありますよね。
CTを撮る時間もないから試験開腹になったんですね。
壮絶な痛みよく耐え抜きました。
私も痛かったのを思い出しました。
私は直腸穿孔だったのでマリさんのように急性ではなかったですが、脂汗ぽたぽたで苦しかったです。

>みっこ さん

CTもレントゲンも撮ったんです〜。その間、ヒーヒー言いながら(;_;)
よく考えたら救急隊が来てから手術まで数時間の間隔がありました。
今考えるとかわいそうな自分。

おなかの中の痛みって、自分で何が起きているのかわからないのが不安をさそいますよね。臓器もいっぱいあるし、おなか自体には骨もなくて見るからにやわらかくて。
直腸穿孔〜(><)名前だけでもおそろしい〜〜〜。

>ちっくたっくぼんぼん さん

ぎゃ!ぼんぼんさんのコメントを見逃してた!
返信の順番が逆になってしまってゴメンナサイ(><)

この後、ラブリーW先生というのが出てきますよ〜。
でも痛い間で覚えているのはジャニーズ先生だけですね。あとは誰一人覚えていません。
顔がピント合っていないみたいにボヤけてたのです。ほんとに。
救急隊3名もオレンジの服とところどころ妙にタメ口だったことしか覚えていません(-▽-)

痛みも強烈ながら、ハラの中で何がどうなっているのか分からない恐怖も大きかったですね〜。
もう絶対やりたくないですが、なかなか興味深い経験ではありました!
  ※コメントの編集用
  シークレットコメントにする (管理者のみ表示)

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

MENU anime_down3.gif

同じカテゴリの記事が一覧表示されます
同じタグの記事が一覧表示されます
更新月別の記事が一覧表示されます
キーワードで記事を検索