転移発見!化学療法へ

転移発見!化学療法へ

「結果から言います。取ったリンパ節の一個に転移がありました。そうすると、次の治療が必要になっちゃう」。

手術の約2週間後、おなかの傷もまだ癒えない夏の夜。回診に来た主治医オー先生、開口一番のお言葉。(今まで“O先生”と書いていましたが、気分的に“オー先生”という表記に変更します)。

今日はいい天気ですね、というくらい、サラッと言われてしまった。

手術で取った臓器はホルマリン漬けされ、細かく検査されます。その結果がそろそろ出るころでした。
日中に婦人科助教授の女医・A先生とお話をしたとき、「オー先生があとで見えますから」という言葉になんとなく不穏な気配を察知して、もしかしたら良くない結果なのかなあと感じつつ、それでも大丈夫に違いない、でもやっぱりダメかなあ、いやいやまだ分からない、などとグルグルしておりました。
そんな風で、まあ全く覚悟がなかったわけではないのですが、オー先生の切り出し方があまり唐突だったもので「ヘェ」だか「ハア」だか、何やら中途半端な返事をしてしまうのでした。

続いての治療=抗がん剤か何か

ということはモワ〜ンと想像していました。でもそれまでは手術で終わりだと勝手に決め込んでいたし、続きを考えると落ち込みそうだったので、あえて聞きも調べもせず。それに、“見えないガンだから”とうことでかなり広範囲に取った手術も、取り過ぎだったね、アハハ、となるんじゃないかなと思っておりました。たとえ取り過ぎだったとしても先生の取った方法は正しいよ、うらみはしないよ、なんて上から目線的なことも考えていたりして。
(見えないがんについては「要注意!見えないがん」をご一読ください)。

「回診が終わったら詳しく説明します」

とのことで、オー先生は手下(他の先生)を引き連れ、一旦退散。

先生や看護師さんが来ている間は必ず席を外している母が病室に戻ってきましたが、一切その話はしませんでした。母はおそらくは何か感付いているものの、あえて触れてこないのがありがたい。「ご家族も一緒に」というようなことを先生から言われたような気がしましたが、面会時間が終わると同時に帰ってもらいました。

わたしの場合、まずは自分で理解することが大事。
頭だけでなく、気持ちのうえでもひとりで納得したい。心の整理をつける前に、周囲からかわいそうがられたり心配されたりすることは大きな負担になるのです。気遣ってくれるのはとてもありがたいことなのですが、このときは自分の心の平安を一番に考えるべきだと思いました。こんなときぐらい、ワガママになってもいいだろうと。ちなみにがん告知のときもセカンドオピニオンもひとりで行きました。その方が気楽。

そして、オー先生が再びにこやかに登場。別室でお話することになりました。

狭い部屋の机には、なにやら分厚い書物が。病気治療のためのガイドラインが書かれているのだそうです。アメリカで基準となっているもので、ここではそれに沿って治療をしているのだとか。

わたしのようながんの場合、リンパ節転移・ステージ2以上・あともうひとつ何か忘れましたが、その3つのうち、ひとつでもひっかかれば継続治療をした方がいいとされているそうで。わたしは転移とステージがアウトだったので、抗がん剤をやりましょうとのお話でした。
実際にはまだがんが残っているかどうか分からないし、その治療方法も絶対に効果があるとは言えないとのこと。倫理的に、治療をするグループとしないグループに分けて検証するといったことができないので、分からないのだそうです。

手術で終わりだろう、と思っていたところだったので気落ちしたものの、ここまで来たならやるしかないだろ!と腹をくくったのでした。(←男前)

不安がありつつもそう決意できたのは、やはり一番にオー先生への信頼があったからこそ。夜遅い時間であるにも関わらず、しつこいほどのわたしの質問にも、ずいぶん長い時間をかけて答えてくれたのは本当にありがたい。帰り際に一瞬見せてくれた、ちょっと残念そうな表情も心あたたまるものがありました。

だれでも、人を落胆させるような話をしなければならないのは辛いもの。それが命に関わる話であればなおのことです。それを繰り返さなければならないお医者さんという仕事は、なんて過酷なんだろう。その忍耐力には敬服せざるをえません。

抗がん剤を始めるまで、病棟の看護師さんにも大いに支えていただきました。患者のそばにいて一部始終を見ているのは看護師さん。お医者さんとは違った見方をしています。質問をすると、より身近で現実味のある回答をくれたものです。それに優しさが和みを与えてくれます。

そういった支えがあったからか、開始のときにはすでに「イケる」という心境にまでなっていました。

おやおや、いつの間にかオー先生、看護師さん賛美になってしまいました。
とりあえず、すてきな人々に出会えてラッキーだったということで。
マイ・プライベート・病室
「なにこれ、お部屋?!」と看護師さんにいわれた、マイ・プライベート・病室
[療養中フォトギャラリー by iPhone (c)木口マリ]
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~ Comment ~

NoTitle

いつもマリさんの気持ちになって読ませてもらってます。

重い病気の告知を受けた時、自分はどうなるだろうか。
生きられないかもしれないという不安を抱えるということはどうゆう事なのか。

テレビで見たり、本で読んだり、話で聞いたりはあるものの、かわいそうとか、頑張って欲しいとか、
誰もが思うけれど、本人の辛さは経験のある人しか理解出来ないでしょう。
悪く言えば、どこかに他人事という思いが片隅にあり(悪気ではなく)自分は病気にならないという気持ちを持っていると思います。
それがどんなに親しい友人であっても、常に友人のことを考えているということにはならないでしょう。
しかし本人は常に、どんな時も、何をしていてもまとわり付いてくる恐怖と闘いながら生きているということ。

マリさんの記録はとても現実的です。
読んでいる時に涙が出ます。
長く苦しい闘病の思いを公開してくれていることに、私は感謝しています。

生きていくうえでの全ての事は、最終的に決断するのは自分自身であるということ、その時に自分自身がどういう気持ちで臨んでいくべきか、臨む気持ちを持つにはどうすれば良いのか。
そのヒントがマリさんの記録には沢山書き記されています。

この人は強い人だから耐えることが出来るんだ、と思う方もいるでしょう。
私はマリさんが特別心が強い人だとは思っていません。
自分自身を上手に理解し、上手にコントロールすることが出来る人なのだと思います。
それも、過去の経験や、普段からの物事の考えた方、数知れない努力の結晶が強い心を作り出しているのだと思います。

人に何かを教えてもらうということは、感謝しなくてはいけません。
長年かけて努力して、培った技術をタダで教えてもらうことは出来ません。
自分の人生をこと細かく一冊の本にして売っていたりしますが、本当に安いものです。
誰かが何十年も生きて気づいたことを数千円で知る事が出来るわけです。

マリさんの記録は大変貴重なものです。
自身の体験を無料で公開してくれているのです(何かの勧誘文句みたいだ(笑))。
今現在病気を抱えている人だけでなく、沢山の人の読んでもらいたいと思います。
自分の人生で大きな病気にかかった時、心の持ち方を準備しておくことが出来ると思います。

一分一秒がどれだけ大切なのかが、理解できます。
しかし人間は、感動したり、自分も頑張ろうなどと思っても一時的な感情は日々の生活にすぐに消されてしまいます。
そんな時はマリさんのブログを読んで自分の贅沢さを忘れないようにしています。

またお茶でもしましょう~!

マリさんのブログから感じる事がたくさんです(^^)
ご免なさい、でも言わせてもらうね
似ているのかしら?(^o^;)

本当は一人で解決したいところ、とか
凹んでもそう見せない、とか
心配かけない事が思いやり、とか

読んでいると勝手にそんな気がして
(^^;)
違ってたらご免なさい(..)

でも私は非常に癌に対していい加減なのでそこは似ていませんよ(^^)

いい加減な私だから、マリさんが正面から癌に向かう姿勢に惹かれるんだと思います

いつも内容の濃いブログ、感心したり共感したり

癌だからこそ楽しんでます(^.^)

  • #17 ちっくたっくぼんぼん 
  • URL 
  • 2014.05/07 19:57 
  •  ▲EntryTop 

>圭さん

すごーくしっかり読んでくれて、ありがとうございます(^^)
病気になる前の方が、病気に対しての得体の知れない恐怖感が強いのではないかと思います。なってみると、乗り出した船は漕がねばならぬと思って進んでいくと、波に抵抗しない限り自然に順応していくのですね。それにその道中、何かしらおもしろいものを発見できるものです。絵とか描いていて、いきなり後ろから押されて絵の具がはみ出してしまったら思いもよらずかっこいい絵になっちゃって、こんな描き方もあったのかと気付くような、そんな感じ。押してくるものが大きければ大きいほど、困るけれども得るものも大きいのですな。ようは、それが失敗ではなくて、発見と思えるかどうかだと思います。
病気は自分で望んでなるものではないけれど、冒険のひとつなのです。身体的に苦しいとか痛いとかがなければ、結構楽しめるもの。実は、抗がん剤の最中なんか、ちょっとワクワクしてました。この話はそのうち書くと思うので、また今度〜。

>ちっくたっくぼんぼん さん

ありがとうございます〜。
そう言っていただいてうれしいです。
ちっくたっくぼんぼんさんのブログを読んでいて、逆境に対してその流れに逆らわない人なんだな〜と思いました。そのあたり、わたしも同類のニオイを感じていましたよ。

がんになってから友達に「結構楽しんでるよ」と言うと、ハ?みたいな顔をされます。そこは経験してみないと理解し難いでしょうね。共感できる方がいてうれし〜。
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