CT検査の怪

CT検査の怪

いかに病気になったとしても、日常生活がつつがなく送れるようになるにつれ、“普通”の日課が増えていくのが一般人の常。

それは喜ばしいことなのだけれど、これまでに感じてきた感情までも日常の中に溶けて薄くなってしまうことには、どことない寂しさを感じます。

まるで、「非日常」という濃い塩水に「日常」の水を注ぎ足していくよう。濃い塩水があったことは覚えていても、その味は次第に薄くなっていきます。

しかし、その塩水に似た味を感じると、その時の記憶も一気に呼び覚まされることがあります。ほかの患者さんの話や映画の一場面、記憶にある場所や会話などが、呼び覚ましの素。たとえ具体的に見た景色まで思い起こされなくても、その時に感じた切なさだけを思い出してウルウルすることもあるでしょう。「年を取ると涙もろくなる」と言うのは、そういうことなのだろうと思います。



そして今回は「CT検査」の話。

この流れでいくと、CT検査をしてたら泣けてきたということになるかと思うでしょうが、さすがにこれでは泣けません。どちらかと言うと楽しい検査のひとつです。

しかし、撮って終わりの「単純CT」でもごはんは3時間前より不可、トイレも1時間前よりできる限りホールドということで、微妙な我慢が必要にはなります。腹部の場合、膀胱に水がたまっていた方が判断しやすくなるのだそうです。

特に今回はハラの具合が時折おかしくなりながらも、がんばってガマン。水が溜まっていなかったために分かりにくくなる可能性があるのなら、我慢した方がマシ。

CT検査では、単純CTのほかに「造影CT」を行うことがあります。これは造影剤を注射して撮影するというもの。この病院では、半分程度を医師が注入したあとは部屋に一人とり残され、あとは機械が注入していきます。機械は有無を言わさない感があるためか、毎度なんとなく緊張であります。

造影CTではその前のごはんは抜き。以前、抗がん剤治療が終わった後に撮った時には、体力が落ちているところでの絶食だったため、たいへん気分が悪くなったことを思い出します。終了後にヨタヨタしながら自販機へ向かい、ココアで復活するという。

あと思い出すのは、腸閉塞で運び込まれた激痛のさなか、ストレッチャーに乗せられてCT室まで行き、ヒーヒー言いながら撮ったこと。
機械からいつも通り流れる「息を吸って…………、止めてください」という悠長な女性の声を、なぜか意外と冷静に聞いていて、その時だけしっかり息を止められたのが不思議。

ともあれ、広い部屋に白くて巨大な機械がドンと置かれた、まるでそこだけ近未来のような空間を、ほんの数分だけでも自分のために使えるのは少し楽しい。CTは放射線を使うため被曝云々を言われることがありますが、気にしません。



そしてできあがった輪切りの胴体。
後日の診察でオー先生と一緒に観察しました。

「特に問題ないですね」
で始まった、体内の旅。これがなかなか面白い。

お腹の中はよく分からなかったけれど、お腹の奥にズンと貫かれている極太の血管や、断面のほとんどを埋めるほど巨大な肝臓を通過し、徐々に形が見えてくる左右の肺を眺めます。先生がマウスのホイールをカリカリ回していくごとに、下から上へ、上から下へと体内の構造が見えるのでした。

それは、模型を見るよりはるかに現実的。その後、映画でお腹を刺されて死んでしまうシーンを見ると、「あの極太血管が切れたのかな」などと思ったりして。

しかし、いくら楽しくてもずっと見ているわけにはいかず、旅はあっという間に終了。終わっちゃったなと思ったところで、オー先生の一言。

「ただ、ひとつ気になることが……」。

最初に「何もない」との話だったので血が引いたりはしなかったものの、こうして診察室の狭い空間で医師と向き合い、次の言葉を待つという状況はドキリとするものがあります。がん告知の時から幾度も体験した、よろしくない結果が飛び出す寸前の感覚がふと甦ります。

今回は、たいしたことのない、何かしらを言われるだけだろうと分かっていながら、「あ、こんな感覚だった」と思うのでした。

先生が再度マウスをカリカリ回しながら指差したその先には……
お腹周りの厚い層。

先生、「太ったのか、むくみなのか……」

え、それ?!
お肉かも?
そんなものまで見えてしまうなんて。
ちょっと恥ずかしい。

「いえ、むくんでるのは自覚してます」

と言うので精一杯でした。

顔が急にムクっとしてきたのは分かっていたのですが、リンパ浮腫を理由に「むくみだ」と言い聞かせてきた自分。脂肪の可能性もあるという現実を認識いたしました。(でもまだむくみだと思っている)

その日は運動のため徒歩で帰宅。道中、野菜や果物を買い込みます。
そして次回のCTまでには筋肉に変えてやると、意を決するのでした。(注:肉だとしたら)

しかし、リンパ浮腫ができやすい今の状況では脂肪よりむくみの方が深刻なはずなのに、「肉」と言われると、「むくみです」と言いたくなるのはなぜだろう。

ヒマワリ
ヒマワリのごとく、テンションあげて体づくりします
[療養中フォトギャラリー by iPhone (c)木口マリ]

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~ Comment ~

笑!

マリさん~、笑。笑。
確かに浮腫みより、患者的には肉の方が今はいいはずだけど、浮腫みと言いたい乙心ですよね。

ちなみに、私はもう、どっぷり日常。
日常の波に溺れてます。

だけど、私も先日のCTで『大丈夫だよ~、でも2つ気になる所が~』と言われた時、ちょっとだけ癌告知の感情を思いだしました。そんな時、一応、癌患者で、普段は忘れてるけど、心配の種はあるんだと・・、自分も意外に繊細かと思います。

忘れてるようで、背後霊のように、居やがる。。

しかし、その気になる結果は胆石と脂肪肝。
私は完璧に肉でした!
まぁ、これは驚かないって!
私も次回までに、ライザップしなくては。
痩せたい~。

こんな、くだらないコメでごめんなさい。
でも、マリさんブログを、毎回楽しんでます。

こんばんは

いつも楽しく拝見させて頂いてます。

とっても前向きなマリさん
説明も判りやすく、参考になります。

CTはそんなに鮮明に判るんですね。

私はお腹にタップリ蓄えがあります。
突き付けられる現実(^◇^;)

暑い日が続いてます。
ご自愛下さいね。

マリさん あう さん、

こんにちは。 ホリディー中で借りているおうちがインターネットが不安定なのもあってコメント書いても消えちゃったりして
なのでお久しぶりになりました。
でもブログはずっと読ませてもらっています

ちょっと前の方のマリさんのブログにもコメント入れさしてもらいました。

さてさてそれは置いておいて


濃い塩水が水によって薄められていくって感覚とてもよくわかります。

あうさんの背後霊と言うのにも笑ってしまった!

私は今 濃い水が水に薄められていったところでまた濃い塩水をたされている状態です。

お休みが終わったらすぐにトモセラピーと言うの始めます。
CTと放射線が混じったような治療で
強烈なピンポイントだそうです。
また放射線が嫌だなーって思っていたんですが
トモセラピーだと聞いて
内容も知らなかったのに
なんかファンシーでいい!思ってしまった私。。
なんか お肉よりむくみの方が いいと思う 感じ よくわかります。。




マリさん あう さん、

こんにちは。 ホリディー中で借りているおうちがインターネットが不安定なのもあってコメント書いても消えちゃったりして
なのでお久しぶりになりました。
でもブログはずっと読ませてもらっています

ちょっと前の方のマリさんのブログにもコメント入れさしてもらいました。

さてさてそれは置いておいて


濃い塩水が水によって薄められていくって感覚とてもよくわかります。

あうさんの背後霊と言うのにも笑ってしまった!

私は今 濃い水が水に薄められていったところでまた濃い塩水をたされている状態です。

お休みが終わったらすぐにトモセラピーと言うの始めます。
CTと放射線が混じったような治療で
強烈なピンポイントだそうです。
また放射線が嫌だなーって思っていたんですが
トモセラピーだと聞いて
内容も知らなかったのに
なんかファンシーでいい!思ってしまった私。。
なんか お肉よりむくみの方が いいと思う 感じ よくわかります。。




>あうさん

一応普通の女子なんだなーと思った次第です。
ボウズが平気なら肉もたいして構わないはずなのに〜(^^;

そうでしたね。あうさんも「気になる所」体験者でしたね。
お互い、結構まだ心が薄皮な部分があるものだなあ。
それだけどこか我慢していたのかもと思ったりして。
背後にボ〜っとしたものがいらっしゃいます。

また体力強化カメラ機材運びしようかなー。
次回CTまで一緒にがんばりましょ〜!

>emiさん

こんばんは!
読んでいただいてありがとうございます(^^)

CT、まさかあんなにバッチリお腹の層が見えるとは。
いや、内蔵もちゃんと見えましたが。
もう記憶がお腹周りでいっぱいです。

でもちょっとくらい蓄えはないとね……と、これまた勝手に解釈してみました。

近頃本当に暑いですね。
ダイソーですだれを買ってきました!

emiさん、まずはゆっくりされてくださいね〜。

>デイジーさん、あうさん

デイジーさん、おうち借りてるんですね!
すてきなバカンスの香りが……。
さすがヨーロッパ。

塩水を再度足されたとしても、その中にきっときれいな結晶も溶けてるんじゃないかと思います。
濃い方ければそれだけ大きくてキラキラな結晶になるかもです(^^)/

「トモセラピー」初めて聞きました。
確かにカワイイ名前!名前のイメージは大事ですよね。
「抗がん剤」も「お肉」も「むくみ」もカワイくない。
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