人工肛門でもフツーです<其の五> ストーマン そらをゆくノ巻

人工肛門でもフツーです<其の五> ストーマン そらをゆくノ巻

人は、いきなり何かしらの変化が身に起きた場合、さまざまなことに不安を感じます。
オストメイトになることも、急な変化のひとつ。何しろ、麻酔で眠って目覚めたら不思議な状態になっているのですから。
そして、本当は何が大変で、何が不安になるほどでもないかというのは、ひとつひとつ試していかなければなりません。

そして、オストメイトがどことなく不安を感じるもののひとつが「飛行機」!

今回は「ストーマン そらをゆく」と題して、擬人化した童話調でいきたいと思います。念のため解説すると、ストーマンとは当然、ストーマのことです。

◇◇◇

「ストーマン そらをゆく」

ストーマンはある日、空を見上げて言いました。
「飛行機に乗って、どこかに行ってみたいなあ」

しかし、ストーマンはひとりで行くことはできません。
なぜかって?
それは、「人」のおなかにくっついていて、自由に歩くことができないから。

いつも気のむくままに暮らしてはいるけれど、「人」が少し勇気を出してくれないと、楽しいことができないのです。

「人」が空の旅に出たくないのは、たぶんちょっとストーマンを心配してのこと。

飛行機に乗れば、耳が痛くなることがあるでしょう。
それは、高い高い空の上では、気圧が変わってしまうから。
ペットボトルがぱんぱんにふくらんだり、ぺしゃんこになったりするのもそのせい。

だとしたら、ストーマンにかぶせてあるパウチはどうなるのだろう。
もしかしたら、風船のようにプックプクになってしまって、ストーマンもぎゅうぎゅう押されてしまうかもしれない。
それに、「人」のおなかにくっついているパウチののりがはがれてしまうかもしれない。
もしもそんなことになったら、ただでさえ狭い飛行機のトイレでストーマンのお世話なんて、できるのだろうか。
そんなひどいことにならなくても、狭いトイレはやっぱり不安。

なんにしても、一度飛んでしまったら「人」にはどうすることもできない。
空港までの道のりも、空港の中でも、旅行先でも、なにかあるかもしれない。

「人」はちょっと心配なことがあると、安全なところから出たくなくなるもの。
知らない人が家にやってきたときのネコみたいに、すみっこの物かげにかくれてしまうのです。

でも、ストーマンは旅に出たい。
そんなに心配いらないんだよ、と「人」に言っているのが聞こえるでしょうか。

それからしばらくして、どうやら「人」は旅に出ようと思ったらしい。
着替えや歯ブラシなんかのほかにストーマンの荷物もいろいろ入った、結構重そうなかばんをガラガラと引きずって、電車に乗りこんだのでした。
もちろん、大きな荷物は空港であずけてしまうから、手荷物の中にもストーマングッズを一式入れて。

まずは空港で多機能トイレをチェック。
当たり前のようにストーマン用があるし、わざわざ「オストメイト」の説明書きまで貼ってあります。

そうだよね。この「人」も、おなかにストーマンがやってくるまで、「オストメイト」なんて言葉も知らなかった。

知らないってことは、ないってこととは全然ちがう。
この空港のストーマン用設備は、だいぶ前からあったみたいに見える。ずっとあったのに、知らないから気付かなかったのかもしれない。

そうして、飛行機に乗り込んでみると、ストーマンはふしぎなものを見つけるのでした。
それは、トイレのドアに貼られた「障害者マーク」。
どうも、車いすが入れる広さになっているらしいのです。

さっそく一番乗りで入ってみると、すごく広くはないけどそれなりの大きさで、赤ちゃんのオムツ交換台や、ちょっとした荷物を置けるスペースも用意されています。ストーマン用の設備はないけれど、それほど困ることなくお手入れができそう。

いよいよ飛行機は飛び立ち、空へとぐんぐん上がっていきます。

その間、「人」もストーマンも、フツウな様子。
ポーンという音とともにシートベルトのサインが消えるころになっても、パウチはプクリともしないし、何が心配だったのかさえ、分からないほど。

念のためトイレにも行ってみたけれど、ストーマンはいつものストーマンのまま。
客室乗務員さんが「快適な空の旅を」と言ったように、いねむりしたり、おかしを食べたりして、快適にすごすのでした。

でも、ちょっと気を付けないといけないのは飲み物。
炭酸なんか飲んだ日には、それこそパウチはプックプク。そのあたりは「人」もわきまえているから大丈夫。

ストーマン、そらをゆく。
宇宙は微妙だけど、空なら電車と変わらないかもしれません。

◇◇◇

そして着陸したのは沖縄・那覇空港。
なんとこの空港の多機能トイレ(到着ロビー)には、オストメイト用設備は皆無!
(2014年4月時点/キグチが見た限り)

ちなみにお話に出てきた空港は羽田空港です。
また、飛行機内の多機能トイレは、B(ボーイング)777の300と200の場合、機体の中央にあります。200では通常のトイレも意外と広め。水道も自動の温水でラク。

客室乗務員さんに聞いたところ、多機能トイレの有無は問い合わせてくれれば調べられるとのこと。
WOCナースケイさんのお話では、チェックインの際にオストメイトであることを伝えておくと、離陸後、一番にトイレに案内してくれることもあるそうです。

今回は、意外となんてことなく、本当にフツーに飛行機に乗って降りた、というだけの話でした。

B777-200の多機能トイレ!1
飛行機のトイレで撮影!鏡の下にあるのが赤子用台
B777-200の多機能トイレ!3
意外と広い
B777-200の多機能トイレ!2
自動温水手洗い!
[療養中フォトギャラリー by iPhone (c)木口マリ]

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~ Comment ~

ストーマン物語感想

ストーマン、飛行機に乗れたのですね。
ストーマンを連れて行く機会がなかった私は存在も知らなかった。
そして、周りにも居なかったので、いろいろと分かりました。
しかし、
一緒に行った人間は、本当にアクティブですね。写真もしっかり、とってるし!!

そして、ストーマンは炭酸は弱いのですね・・??お腹がコワレルのでしょうか?

まだまだ、私には謎の多いストーマンです。

>あう さん

実はストーマンもちょっとだけドキドキしていたらしいですよ(^^)
人間にとっても、ストーマンがやってきた日から毎日が冒険でした。
子供の時、家のまわりの塀を登って歩くのが冒険だったような、そんな素朴な雰囲気ですが。

飲み物、「炭酸注意」というだけではナゼだか不明ですよね!
普段でも炭酸を飲んだらオナラがよく出るように(……出ますよね?)、パウチがプーっと膨らんでしまうのです。多分、腸が途中までしかない分、気泡の吸収もあまりされずにダイレクトに反応が出るのかなという気がします。それはそれで面白いんですけどね(>▽<)
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